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うまく言えない帰郷。古里。元気が出る本。

 先日、故郷である福島県に帰省してきました。
いわゆるお盆期間に。帰省ラッシュの最中に。
レンタカーで。
停滞、という状況が苦手というか嫌いなので、道路が渋滞することが誰でも予想できるこの期間は、
普段なら避けるのだけども今回は事情がありそうもいかなかったのでそうなった。
事情というのは家の事情で、別にここでわざわざ申し上げることでもないので申し上げない。
いつもなら一泊してトンボ帰りのようなスケジュールなのだけど、今回は3泊もしてゆっくりさせて頂きました。
ありがとうございます。
ゆっくりできた故に、上京して以来ほとんど会っていなかった人たちと会えた。お話もできた。
これがよかった。

まずは親戚の方々。
皆さん地元福島で生活している年配の人たち。
会食の席があったのだが、皆さんよく喋り、よく笑っておられた。明るかった。
そして地元にいた頃、よくお世話になった居酒屋の大将。
お店に寄らせて頂いて、久しぶりにお話もゆっくりさせてもらった。
相変わらず活力の溢れる感じ。昔と少しも変わっていなくて嬉しかった。
本当に。

他にもあちこ寄らせてもらったが、見かける人たちは自分が住んでいた頃と変わらない様子だった。
表面上は。
東京にいると、福島に関するいろいろな話を聞いたり見たりする。
明るい話、暗い話、本当の話、嘘の話。
なので、地元で暮らす方々の心境は複雑であるのかもしれない。
複雑な気持ちを抱えながらも、そこで暮らし続けること。
うまく文章にできないが、あえて言うならばいじらしいし愛おしいと思う。
帰ってこれる故郷があって、東京で活動できるのもそこで暮らしている人たちのお陰じゃなかろうか。
そんな方々の力にいつかなれたら、と思い絵を描いてる部分もあるのですよ。

先月、関西在住のヤタヨシヤス氏から、「元気が出る本」の選書依頼というお願いを承った。
聞けば、震災で被災した方々の為に、クリエイターの人たちが選んだ元気が出る本を書店やwebで紹介するという活動を
お一人でやられているとの事。

元気が出る本webサイト http://b-bookstore.net/
        ブログ http://bioodbord.blog103.fc2.com/

自分なんかが選んで良いのかとか、よく自分を見つけたなぁとか、いろいろ頭に浮かんだが、
依頼されたならご協力いたしましょうと思い、恥ずかしながら選ばせて頂いた。
二冊も。

町田康さんの小説「きれぎれ」
http://bioodbord.blog103.fc2.com/blog-entry-2044.html
イラストレーターの大塚いちおさんの作品集「MAGIC」
http://bioodbord.blog103.fc2.com/blog-entry-2045.html

被災した方々の心にプラスの作用がもたらされれば幸いです。
起き上がり小法師の箸置き
これは地元の民芸品、起き上がり小法師をモチーフに作られた箸置き。
小休止できたのでまた絵を描きます。
個展に向かって!明日に向かって!

フィクション

 この間選挙があったのに今日また選挙らしい。
近所の中学校がその投票所らしくて、朝から知らない人たちが入れ替わり立ち替わり歩いているのを部屋の窓から見た。
専門学校に通うために上京したが、住民票は移していないのでこの町での選挙権はないらしい。
なのであまり関係ない。
関係ないが、どこで聞いたか見たか覚えてないが、高齢化社会がーとか待機児童がーとか憲法がーとか、選挙に出てる人たちが訴えているのは知っている。
それは問題だなぁ、となんとなく思うが私の頭の中の大半をいっぱいにしている問題はひとつ、「就職が決まらない」

それだけになってしまっている。

彼氏のこととか、家族のこととかも考えるけども、9月からは奨学金の返済も始まってしまうこともあって、どうしてもそのことが頭の中をいっぱいにしてしまう。
されてしまう。
この前受けた会社の面接してくれた人は、「私はあなたを推します」と言ってくれたけど本当だろうか?
まるで自信がないんですけど。

バイトに行かなきゃ、と身支度を始めたら晴れていたのに土砂降りになった。
最悪だー、と思いながら化粧をして着替えをしてたら嘘のように雨が止んだ。
外に出て空を見ると、薄い雲と分厚い雲が入り混じっていて隙間から綺麗な青が見えた。
まだ乾いていない道を駅に向かった。
中学校の門が解放されて、人が出入りしていた。
なんとなく、選挙に来ましたよ、という顔をして入ってみた。
入ったらすぐ校庭。土の校庭。さっきの雨のせいで大きい水たまりがいくつかできていた。
水たまりには、ちょうど雲とその隙間の青空が映っていた。
水を含んだ黒と茶色の間のような土の色に、唐突に入る空の青と雲の白が綺麗で足が止まった。
鞄から携帯電話を出して写真を撮った。
「ええ感じや」と納得して駅に向かった。
バイトの休憩中に画像を見返して、「ええ感じや」とまた思った。

21:38

プロフィール

うえのゆきお

Author:うえのゆきお
 上野幸男
フリーランスイラストレーター
1975年福島県会津若松市生まれ
イラストレーション青山塾10,11期修了
埼玉県在住


Website:https://www.uenoyukio.com
連絡先:0143mugio@gmail.com

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