フィクション

 この間選挙があったのに今日また選挙らしい。
近所の中学校がその投票所らしくて、朝から知らない人たちが入れ替わり立ち替わり歩いているのを部屋の窓から見た。
専門学校に通うために上京したが、住民票は移していないのでこの町での選挙権はないらしい。
なのであまり関係ない。
関係ないが、どこで聞いたか見たか覚えてないが、高齢化社会がーとか待機児童がーとか憲法がーとか、選挙に出てる人たちが訴えているのは知っている。
それは問題だなぁ、となんとなく思うが私の頭の中の大半をいっぱいにしている問題はひとつ、「就職が決まらない」

それだけになってしまっている。

彼氏のこととか、家族のこととかも考えるけども、9月からは奨学金の返済も始まってしまうこともあって、どうしてもそのことが頭の中をいっぱいにしてしまう。
されてしまう。
この前受けた会社の面接してくれた人は、「私はあなたを推します」と言ってくれたけど本当だろうか?
まるで自信がないんですけど。

バイトに行かなきゃ、と身支度を始めたら晴れていたのに土砂降りになった。
最悪だー、と思いながら化粧をして着替えをしてたら嘘のように雨が止んだ。
外に出て空を見ると、薄い雲と分厚い雲が入り混じっていて隙間から綺麗な青が見えた。
まだ乾いていない道を駅に向かった。
中学校の門が解放されて、人が出入りしていた。
なんとなく、選挙に来ましたよ、という顔をして入ってみた。
入ったらすぐ校庭。土の校庭。さっきの雨のせいで大きい水たまりがいくつかできていた。
水たまりには、ちょうど雲とその隙間の青空が映っていた。
水を含んだ黒と茶色の間のような土の色に、唐突に入る空の青と雲の白が綺麗で足が止まった。
鞄から携帯電話を出して写真を撮った。
「ええ感じや」と納得して駅に向かった。
バイトの休憩中に画像を見返して、「ええ感じや」とまた思った。

21:38